声優事務所について調べていると、「やばい」「所属しても仕事がない」「高額な費用を請求された」といった情報を目にすることがあります。
これから声優を目指す人にとっては、不安になる言葉だと思います。しかし、インターネット上の「やばい」という評判だけで、その事務所が良いのか悪いのかを判断することはできません。
重要なのは、応募するオーディションが何を目的としているのか、合格するとどのような立場になるのか、費用は発生するのか、どのような契約を結ぶのかを自分で確認することです。
私自身は1989年から2000年まで、途中に空白期間を挟みながら声優を目指しました。東京アナウンスアカデミー、勝田話法研究所、アミューズメントメディア総合学院(AMG)など、複数の養成機関で実際に学んだ期間を合計すると約7年間です。
2000年には声優事務所への所属オーディションを1社だけ受けましたが、結果は不合格でした。当時と現在では情報を集める環境も大きく違います。
この記事では、特定の声優事務所を「やばい事務所」と決めつけるのではなく、現在の公式情報や公的機関の注意喚起をもとに、所属を目指す前に確認しておきたいポイントを解説します。
声優事務所の「やばい」評判はどう見る?
声優事務所の名前を検索すると、「やばい」「厳しい」「仕事がない」といった口コミや評判が見つかることがあります。
ただし、それだけで事務所の実態を判断するのは難しいでしょう。
例えば「厳しい」という感想でも、レッスン内容が厳しかったのか、所属審査が厳しかったのか、本人が期待していた環境と違ったのかによって意味が変わります。
また、「所属しているのに仕事が少ない」という情報があっても、外部からは本人の活動方針、オーディション結果、契約内容、休業などの事情までは分かりません。
そのため、ネット上の評判は一つの情報として参考にしながらも、最終的には事務所の公式サイト、募集要項、契約時に提示される書類などを確認する必要があります。
声優事務所に所属する前に確認したい5つのポイント
声優事務所や声優オーディションを調べる際は、少なくとも次の5点を確認しておきたいところです。
- 合格するとどのような立場になるのか
- どのような費用が必要なのか
- 契約期間や退所などの条件はどうなっているか
- 事務所がどのような仕事を扱っているか
- 契約内容を理解してから判断できるか
合格するとどのような立場になるのか
最初に確認したいのが、「何に合格するオーディションなのか」です。
声優関連の募集には、事務所への所属だけでなく、養成所への入所、研究生、特待生、作品への出演者募集など、さまざまなものがあります。
「オーディション合格」という言葉だけを見て、声優事務所への所属が決まると考えないことが大切です。
例えば81プロデュースが実施する「81オーディション」では、グランプリの特典として81ACTOR’S STUDIOでの特待生レッスンなどが案内され、特に優秀と認められた場合には即所属の機会があるとされています。
このように、同じ声優関連のオーディションでも「合格後に何が得られるのか」は募集によって異なります。
応募前に募集要項を読み、「所属」「養成所入所」「研究生」「特待生」「出演」などのうち、何を選ぶ審査なのか確認しましょう。
どのような費用が必要なのか
次に確認したいのが費用です。
費用が発生するという理由だけで、その事務所や養成機関を問題があると判断することはできません。
声優を育成する養成所では、入所金や授業料などが設定されていることがあります。一方で、募集制度によってはレッスン費用が免除される場合もあります。
重要なのは「お金が必要か、無料か」だけではなく、何に対して、いくら支払うのかを確認することです。
オーディション後にレッスンや養成契約を案内された場合には、入所金、授業料、教材費、登録に関する費用など、必要になる金額と内容を確認してから判断しましょう。
契約期間や退所などの条件を確認する
所属やレッスンについて契約する場合は、費用だけでなく契約条件も確認する必要があります。
契約期間、更新方法、途中で契約を終了する場合の条件、他の芸能活動やオーディションへの応募について制限があるのかなど、分からない部分を残したまま契約しないことが大切です。
募集ページだけでは契約内容のすべてが分からない場合もあります。その場合は、実際に提示された契約書や説明資料を確認します。
事務所が扱う仕事を公式情報で確認する
自分がやりたい仕事と、事務所が扱っている仕事を照らし合わせることも必要です。
「アニメに強い」「ナレーションに強い」といったネット上の評判だけで決めるのではなく、事務所の公式サイトで所属者のプロフィール、出演情報、ニュース、事業内容などを確認してみましょう。
例えば、アニメ、ゲーム、吹き替え、ナレーション、舞台など、自分が目指したい仕事について実際にどのような活動が掲載されているかを見る方法があります。
ただし、公式サイトに掲載されている出演実績だけから、所属後に自分にも同じ仕事の機会が与えられると考えることはできません。
その場で契約を決めない
芸能分野の契約については、公的機関も注意を呼びかけています。
国民生活センターでは、オーディションやSNSなどをきっかけとして芸能事務所との契約を勧められ、有料レッスンなどの契約を結ぶトラブルについて注意喚起しています。
大切なのは、「合格した」という喜びだけで判断せず、どのような活動をするのか、費用はいくら必要なのかなどを確認することです。
内容を十分理解できない場合や、不安が残る場合には、その場で契約を決めず、家族など周囲の人に相談することも選択肢になります。
国民生活センター「タレント・モデル契約のトラブルにご注意!」
所属・研究生・養成所入所は同じではない
声優を目指す人にとって分かりにくいのが、事務所と養成機関の関係です。
声優事務所によって、付属・関連する養成所がある場合、研究生制度を設けている場合、一般向けのオーディションを実施する場合など、育成や新人募集の方法は異なります。
例えば、81プロデュースには81ACTOR’S STUDIOがあり、マウスプロモーションには附属俳優養成所があります。
マウスプロモーション附属俳優養成所では、公式募集要項に入所金や授業料が掲載され、養成期間中には進級試験、養成期間終了時には所属試験が行われることが案内されています。
つまり、「養成所に入ること」と「事務所に所属すること」は同じではありません。
また、大沢事務所のように研究生募集を行うケースもあります。制度は事務所ごとに異なるため、「合格」という言葉だけではなく、その後の立場まで確認する必要があります。
募集制度は変更されることがあるため、応募する際は必ず各事務所・養成機関の最新の公式募集要項を確認してください。
「飼い殺し」という評判だけでは判断できない
声優事務所について調べていると、「飼い殺し」という表現を目にすることがあります。
一般には、事務所に所属していても仕事やオーディションの機会が少なく、十分に活動できていない状態を指して使われる言葉です。
しかし、外部から所属者の仕事が少なく見えるという理由だけで、事務所が意図的に仕事を与えていないと判断することはできません。
オーディションの結果、本人の活動方針、契約内容、休業など、公式サイトや第三者からは分からない事情があるためです。
そのため、「○○事務所は飼い殺しをする」といったネット上の書き込みだけで所属先を判断するのではなく、自分が応募する制度や契約条件を確認することを優先した方がよいでしょう。
私が2000年に受けた所属オーディション
私自身が声優事務所への所属オーディションを受けたのは2000年です。
1989年に東京アナウンスアカデミーへ通い始め、その後は勝田話法研究所、1995年からはアミューズメントメディア総合学院(AMG)などで学びました。
2000年にはAMG在籍中に洋画『BLINDED(ブラインデッド)』の日本語吹き替え収録へ参加する機会もありました。
しかし、声優事務所への所属については、私は1社のオーディションを受けただけです。そして結果は不合格でした。
以前から30歳までに結果が出なければ声優を目指す活動に区切りをつけると決めていたため、その後は別の事務所の所属オーディションを受けていません。
今振り返ると、私は複数の声優事務所を十分に比較して所属オーディションを受けたとは言えません。
1989年に声優養成を始めた当時はインターネットもなく、養成所や声優業界について現在のように簡単に情報を調べられる環境ではありませんでした。
現在は逆に多くの情報を調べられます。だからこそ、「評判が良い」「やばい」といった短い評価だけでなく、公式情報を確認して、自分が何に応募し、合格後にどのような立場になるのかを理解してから選ぶことが大切だと考えています。
声優事務所を選ぶときの確認事項
声優事務所や所属オーディションを検討するときは、「有名だから」「評判が良いから」「やばいという口コミがないから」といった理由だけで決めないことが大切です。
- 何を目的としたオーディションなのか
- 合格後は所属・研究生・養成所生など、どのような立場になるのか
- 入所金・レッスン料などの費用は発生するのか
- 費用が発生する場合、何に対する支払いなのか
- 契約期間や更新、退所などの条件はどうなっているか
- 事務所の公式サイトにどのような活動実績が掲載されているか
- 疑問点を確認してから契約を判断できるか
募集要項を読んでも分からない部分がある場合は、応募先へ確認することも必要です。
まとめ:やばい評判より契約内容を確認しよう
声優事務所について「やばい」という評判を見つけても、その言葉だけで事務所の良し悪しを判断することはできません。
反対に、有名な声優が所属していることや、ネット上で評判が良いことだけを理由に、自分に合った事務所だと判断することもできません。
確認したいのは、応募するオーディションの目的、合格後の立場、必要な費用、契約条件、そして事務所が公式に公開している活動内容です。
私自身は複数の養成機関で合計約7年間学び、2000年には洋画の吹き替え収録も経験しましたが、声優事務所への所属には至りませんでした。
その経験からも、声優を目指す過程と「事務所に所属すること」は分けて考える必要があると感じています。
ネット上の評判を入口にすることはあっても、最後は最新の公式情報や実際に提示された契約内容を確認し、自分が納得したうえで判断することが大切です。