声優養成所を探すと、日ナレ、青二塾、81ACTOR’S STUDIOなど、さまざまな名前が見つかります。しかし、知名度だけで選んでよいのか、未経験でも入れるのか、仕事と両立できるのか、迷う人もいるでしょう。
結論からいうと、誰にでも共通する「おすすめランキング」はありません。受講できる曜日、学費の総額、募集年齢、学びたい内容、修了後の審査制度によって、適した養成所は変わります。
私は1989年に東京アナウンスアカデミーで声優の勉強を始め、1991年には勝田話法研究所(後に勝田声優学院へ改名)、1995年ごろから2000年にかけてはアミューズメントメディア総合学院(AMG)でも学びました。仕事とレッスンを両立し、20代半ばで年齢への不安を感じた経験もあります。
この記事では、各校を根拠なく順位付けせず、公式募集情報で確認すべき項目と、私自身の経験から考える選び方を紹介します。学校の制度は変更されるため、最終的には必ず各校の最新の募集要項をご確認ください。
声優養成所を選ぶ6つの基準
養成所の比較では、次の6点を同じ条件で確認すると、候補を絞りやすくなります。
- 入所資格:年齢、学歴、演技経験の有無
- 通学条件:校舎の所在地、曜日、時間、授業回数
- 費用:入所金、授業料、受験料、追加費用と支払方法
- 授業内容:基礎演技、発声、台本読解、マイク実習など
- 進路制度:進級審査、所属審査、外部オーディションの機会
- 生活との両立:交通費、仕事や学校との調整、欠席時の扱い
養成所と専門学校の違い
声優養成所には芸能事務所が運営・関連するものがあり、専門学校やスクールには複数の進路に対応したコースを設けるところがあります。ただし、名称だけで教育内容や入所難易度が決まるわけではありません。
養成所にも未経験者向けの基礎クラスがあり、専門学校やスクールにも入学選考や実技授業があります。また、「専門学校」と呼ばれていても、制度上の認可状況は学校ごとに異なります。資格や学割を重視する場合は、学校の正式な区分を確認してください。
学費は修了までの総額で比較
週1回と全日制では授業時間が違います。年間の学費だけで「安い」「高い」と決めず、入所から修了までの総額と授業内容を比較しましょう。入所審査の受験料、交通費、教材費なども予算に含めます。
主要校の料金と対象年度は、別記事「声優養成所の学費はいくら?公式料金の比較と費用を抑える方法」で整理しています。
事務所との関係と所属審査
養成所と芸能事務所の関係は重要ですが、「系列の養成所に入れば所属できる」という意味ではありません。入所後に進級審査や所属審査がある場合もあります。
確認したいのは、修了生の審査機会、対象となる事務所、審査を受けられる条件、過去の実績の対象年度です。「所属率」の数字がある場合も、分母が卒業生全員なのか、特定の審査対象者なのかを確認しましょう。
主要な声優養成所・スクールの比較
以下は順位ではなく、通学形態や進路制度を調べるための候補一覧です。校舎、コース、募集年齢などは年度によって変更されるため、リンク先で最新情報を確認してください。
| 学校・養成所 | 比較時に注目したい点 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 日本ナレーション演技研究所(日ナレ) | 週1回などの受講形態 | 希望校舎の開講クラス、年齢条件、進級・所属審査 |
| 81ACTOR’S STUDIO | 本科と週1クラスなどの違い | 受講期間、実技審査、カリキュラム、進路 |
| 青二塾東京校 | まとまった通学時間が必要な課程 | 授業日程、募集資格、費用、修了後の審査 |
| 俳協ボイス | 期間を区切ったレッスンと進級制度 | 受講期間、次のクラスへの審査、追加費用 |
| シグマ・セブン声優養成所 | 基礎科の募集とレッスン形態 | 募集年度、曜日、受験料、学費、所属審査 |
| アミューズメントメディア総合学院(AMG) | 学習課程とプロダクション審査の仕組み | 現在のコース、学費、実績の集計年度と対象 |
| 代々木アニメーション学院 | 全日制や週1日などの受講形態 | 希望校舎での開講状況、授業内容、卒業後の進路 |
AMGなどが公表する所属実績は、対象年度や集計方法を確かめてから参考にしましょう。異なる学校の数字を、同じ条件の「合格率」として並べることはできません。
未経験者に合う養成所の探し方
演技未経験なら、最初から専門学校に限る必要はありません。養成所の基礎クラスも候補になります。募集要項に「未経験者可」「基礎から学べる」といった説明があるか、入所審査では何を見られるかを確認しましょう。
発声や滑舌だけでなく、相手の台詞を聞いて反応する演技、台本の読解、講師からの指摘を受けて表現を変える練習ができるかも大切です。可能なら説明会や体験レッスンで、授業の進め方を確かめてください。
社会人が通うなら週1回も選択肢

仕事や学業を続けながら声優を目指す人には、週1回や休日のコースが候補になります。ただし、同じ「週1回」でも曜日、授業時間、振替の可否は異なります。シフト勤務の人は、欠席が続いた場合の扱いも確認しておきましょう。
私は新聞奨学生として働いていた1989年、日曜日に東京アナウンスアカデミーのレッスンへ通いました。早朝の新聞配達、専門学校、夕刊配達や集金が重なり、約半年で退所することになりました。意欲があっても、生活の中に練習時間を確保できなければ通い続けるのは難しいと実感した経験です。
一方、後年は仕事をしながらAMGで学びました。週1回のレッスンでは、授業以外の日に台本を読み、指摘された課題を自分で練習することも必要でした。週1回だから上達できないのではなく、その時間をどう使うかが重要だと考えています。
地方在住者が確認したいこと
近くに養成所がない場合は、通える地域の校舎、オンライン講座、短期レッスン、上京後の通学などを比較しましょう。オンラインは移動の負担を抑えられますが、マイクの前で複数人と演じる実習など、対面で確認したい内容もあります。
地方校から東京校への転校や、東京の事務所の所属審査を受ける制度があるかどうかは学校によって異なります。「地方校に入れば後で東京へ移れる」と決めつけず、転校条件、追加費用、審査場所を個別に確認してください。
年齢制限は募集要項で確認する
声優養成所の募集年齢は一律ではありません。年齢の上限が設定されている学校もあれば、コースごとに条件が異なる場合もあります。「30歳なら無理」「若ければ有利」と一般化せず、希望する年度の応募資格を確認することが先決です。
私が20代半ばで再び養成所に通おうとしたとき、スタッフから「今からではちょっと遅いかも」と言われたことがありました。当時は年齢が気になりましたが、実際に通って同期の生徒たちと学ぶうちに、まだ取り組めることがあると考え直しました。
これは私個人の体験であり、現在の養成所全体の年齢評価を示すものではありません。年齢条件を満たすかどうかと、自分が通い続けられるかどうかを分けて考えることをおすすめします。
私が3つの養成機関で学んで感じたこと
私の学習歴は、1989年の東京アナウンスアカデミー、1991年の勝田話法研究所、1995年ごろから2000年にかけてのAMGです。1989年から2000年まで連続して在籍したわけではなく、時期を分けて合計約7年間、声優の勉強に取り組みました。
勝田話法研究所では「外郎売」を覚え、1991年から現在まで、少なくとも年に一度は暗唱を続けています。AMGでは基礎科・研究科・デビュー科などで学び、2000年には洋画「BLINDED」の日本語吹き替えに参加する機会もありました。ただし、私は声優事務所への所属には至っていません。
複数の養成機関で学んで感じたのは、学校の名前だけではなく、授業で何を学び、自分が何を改善できるかが重要だということです。養成所で積極的に役割を引き受けたり、授業以外で演技の練習を重ねたりした経験も、学校選びを考えるうえで役立っています。
私の具体的な経験は「養成所での自己紹介リフィルと一番手の精神」や「養成所の外で試した演技の練習」でも紹介しています。
体験入学や説明会で聞きたい質問

候補を絞ったら、募集要項で分からないことを説明会や問い合わせで確認しましょう。特に、次の質問は入所後の行き違いを防ぐのに役立ちます。
- 演技未経験でも応募できますか。入所審査では何を行いますか。
- 希望校舎で受講できる曜日と時間帯はいつですか。
- 修了までに必要な費用と、追加費用の内訳は何ですか。
- 欠席した場合の補講・振替制度はありますか。
- 進級・所属審査を受けるための条件は何ですか。
- 実績として示されている所属者数や所属率は、何年度の誰を対象にした数字ですか。
- 途中退所時の返金条件はどうなっていますか。
体験レッスンに参加できる場合は、講師の説明が理解できるか、受講生がどのように課題へ取り組んでいるか、自分が継続して通えそうかも見ておくとよいでしょう。
まとめ:おすすめは条件で変わる
声優養成所を選ぶときは、知名度やランキングよりも、自分の目的と生活条件に合っているかを確認しましょう。
- 誰にでも当てはまる養成所ランキングはない
- 入所資格と募集年齢は学校・コースごとに異なる
- 未経験者も基礎クラスを候補にできる
- 週1回コースは仕事や学業との両立を検討しやすい
- 学費は修了までの総額で比較する
- 通学時間と交通費も重要な判断材料である
- 系列事務所があっても所属が保証されるわけではない
- 所属実績は年度と集計対象を確認する
- 地方校からの転校制度は個別に確認する
- 説明会では審査制度や返金条件も質問する
- 学校の名前だけでなく授業内容と練習環境を見極める
- 最終判断には最新の公式募集要項を使用する
私は異なる時期に3つの養成機関で学び、仕事との両立や年齢の不安も経験しました。だからこそ、無理なく通い続けられるか、学びたい内容があるかを事前に確かめることを大切にしてほしいと思います。
気になる学校を2~3校に絞り、公式資料や説明会で同じ項目を比較してみてください。費用を詳しく調べたい方は「声優養成所の学費比較」も参考にしてください。